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2020-12-29

ヨガポーズ中「胸を少しだけ釣り上げる」となぜ呼吸が苦しくなる?|ヨガインストラクターのためのレッスンプラン

By Adobe Stock

呼吸が苦しくなるのは、胸椎の動きを無視した身体の使い方をしているから

ヨガポーズを誘導する時に「胸を釣り上げる」と使ってしまいます。一見、背筋が伸びてきれいな姿勢ができあがるのですが、「呼吸が苦しい」という意見をいただきました。
ヨガインストラクターのあつこさんに伺います。


呼吸が苦しくなるのは、胸椎の動きを無視した身体の使い方をしているから

胸(胸椎)は、反らす事が(伸展)できません。
それなのに、無理に胸を反らそうとすればそれだけで苦しいはずです。でも、「胸を少しだけ釣り上げて」とヨガインストラクターから言われてしまうと、生徒さん達は「釣り上げた感」を感じるために、鎖骨を後ろに引き、首(頚椎)でも伸展しようとしてしまします。

胸椎は反れない→他の部分でがんばる→鎖骨を後ろにひく→首が詰まる
という間違った流れになるというわけです。

この動きの中でのポイントは、特に鎖骨を後ろに引くという動きでしょう。鎖骨を後ろに引くという本来不必要な動きが本来の胸椎(脊椎のウェーブ)の動きを妨げていたのです。

そして、腰椎の部分でも同じような事が連動して起きていて、腰椎の不必要な動きも身体全体へと連動してしまっているというわけです。

ヨガインストラクターの言葉選びが、生徒さんの呼吸に影響しているという事実

「胸を少しだけ釣り上げて」という表現は、いわゆる猫背を直して、姿勢をよくしたいという意図だと思います。しかし、その局所的な誘導表現のために、生徒さんの身体の力みを生み、呼吸が苦しいと感じさせていたのです。

そもそも胸椎は釣り上げることができない構造

胸(肋骨)を上方向に動かそうとするとき、胴体は反る(伸展)方向に動きますが、、、

  • ①そもそも脊椎の中でも、胸椎(肋骨と一体)の部分ではほとんど伸展できません。
  • ②その動作と共に、鎖骨を後ろに引いたり、上にあげたりすると、首が固まり動きにくい。
  • ③胸を反らせると、反り腰姿勢になりやすく骨盤は前傾してバランスを取るので、胸も腰も詰まります。

胸椎は反る動きができないのに、反らせようとするから周辺に不要な力みを生む

今回は、一緒に動く鎖骨の動きに注目してみると、鎖骨を動かす筋肉の多くは首を通っている筋肉なので、胸を反らせる動作で、鎖骨も一緒に後ろ(背中側)に引くと、無意識に首に力が入っているのが、わかると思います。

身体の一箇所(今回の場合は胸)だけに意識がいってしまう表現を見直す

ヨガの誘導で、胸を〜しましょう、尾骨を〜の方向になど、身体のどこか一部分にフォーカスした言葉がよく出てくるのですが、1部分だけにフォーカスしすぎると、身体は固まる方向に動くので、苦しくなってしまう生徒さんが多いというわけです。

ヨガの本質(ゴール)を思い出すと言葉選びも変わってくる

胸の部分はカゴ状になっていて(胸郭)、その中には肺があります。

ということは、「胸を釣り上げる」身体の動きは、呼吸のしやすさ、苦しさにも直結しているのです。

つまり、大事なのはヨガの本質に立ち返る事。ヨガポーズの目的は、生徒さん達の呼吸が深まる、快適な姿勢作りなはずです。

とすれば、「胸を釣り上げる」という身体の動きはヨガポーズでは不必要な動きであると考えられるわけです。

ヨガポーズ中に「胸を少しだけ釣り上げて」と誘導しそうになったら、言葉からくるイメージを再確認してみましょう。

ヨガインストラクターは身体全体を俯瞰する視点でヨガレッスンを行おう

「胸」というと上半身だけに意識を向けてしまいがちですが、頭から足裏までの全身が、胸と一緒に動くイメージを持ってみましょう。

「胸を釣り上げて」という言葉をレッスン中に使ってしまいそうになったら、自分からズームアウトして、インストラクター自身の身体全体、または、生徒さん全員の身体全体を思い出すキッカケの言葉として、捉えるのもおすすめです。

もう一度解剖学をおさらい

① 胸を引き上げるという動きは、胸の部分だけの動きだけではない。
② 胸椎は、脊椎(首から尻尾まで)の一部であり、動きは連動する。
③ 局所的ではなく、脊椎全体を常に意識する。

ヨガインストラクター 山本あつこ

Atsuko

2019年にアレクサンダー・テクニークと解剖学から「動きやすさの法則」を体系化した新しいヨガとして、YOGA BASE LABを仲間と共に発足。都内スタジオでヨガを教えるほか、自ら教室も主宰しています。

「ヨガ指導者養成講座を卒業したけれど、身体の使い方これであってる?」とお悩みのヨガインストラクターが今日のレッスンで実践的に使えるヨガの動きと解剖学の知識(解動学入門)をお伝えしています。

動きのしくみがわかる解動学入門(ハタヨガ)

毎月 第3土曜日11:00 – 12:15

2021年1月の予定
2021年1月16日

【対象】
ヨガ経験者、ヨガインストラクター、身体の動きの仕組みや解剖学に興味のある方

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